都道府県別のIQランキングは、これまで2003〜2004年のテレビ番組の視聴者集計がほぼ唯一の元データでした(「テスト・ザ・ネイション」)。当サイトでは以前、この元データの信頼性の低さ(公式統計ではない・県差はわずか・年度で順位が入れ替わる)を検証記事にまとめています。今回、当サイトの実際の受験データ(8,062件)から独自に地域別の集計を行いました。20年以上前のデータに代わる、もう一つの参考材料としてご覧ください。
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データと集計方法
受験時のアクセス地点(VercelのIPジオヘッダ由来・都道府県レベル)を集計に使っています。集計にあたり、1問あたりの平均回答時間が2秒未満の記録は除外しました。実際に集計してみたところ、ごく短時間に極端に低いスコアが特定の地域に集中するケースが見つかり、これは人間が問題を読んで判断する速度として現実的でない(機械的な連打・自動アクセスの可能性が高い)ためです。この基準で全国8,062件のうち約400件強を除外しています。
この記事の数値も、当サイトの受験者という自己選抜サンプルに基づくものです。都道府県の「代表サンプル」ではありません。以前の記事で他サイトのランキングに指摘したのと同じ基準(公式統計かどうか・差の大きさ・件数の妥当性)を、自分たちのデータにも適用して正直に公開します。
もう一点、重要な注記があります。以下の平均スコアは、一般的なIQスケール(平均100・標準偏差15)と直接比べられる数字ではありません。当サイトの受験者は「自分の腕を試したい」と自ら来る層に偏っており、受験者全体の平均自体が理論上の100よりかなり高い位置にあります。そのため「東京都130.7」のような数字も、一般的なIQ基準に照らして「平均よりずっと高い」と読むのは誤りです。この記事の数値は、あくまで当サイトの受験者という同じ母集団の中での、都道府県間の相対比較としてお読みください。
地方ブロック別(8ブロック・信頼できる件数)
47都道府県に分けると件数が薄くなる県が出るため、まず8地方ブロックで見ます。全ブロックが22件以上、多くは50件を超えており、比較的安定した数字です。
| 地方 | 件数 | 平均スコア |
|---|
| 東北 | 34 | 132.5 |
| 九州・沖縄 | 110 | 131.2 |
| 関東 | 586 | 130.3 |
| 中国 | 52 | 129.3 |
| 近畿 | 260 | 128.3 |
| 中部 | 134 | 128.6 |
| 北海道 | 56 | 125.9 |
| 四国 | 22 | 124.6 |
最高の東北(132.5)と最低の四国(124.6)の差は8ポイント弱です。件数が最も多い関東(586件)は全国平均に近い水準でした。ブロック間の差は、以前の記事で指摘した「テスト・ザ・ネイション」の県別差(103〜109の6ポイント幅)と同程度かそれ以下で、地域による差はあってもごくわずかという結論は変わりません。
信頼できる件数だけで見るトップ10県
47都道府県の全件は次の節で公開しますが、件数が少なすぎる県を含めた「トップ10」は誤解を招きます。ここでは10件以上のデータがある25県に絞って、上位10県だけを紹介します。
| 順位 | 都道府県 | 件数 | 平均スコア |
|---|
| 1 | 奈良県 | 11 | 136.5 |
| 2 | 京都府 | 25 | 134.2 |
| 3 | 宮城県 | 18 | 133.7 |
| 4 | 神奈川県 | 81 | 133.3 |
| 5 | 岡山県 | 13 | 132.9 |
| 6 | 埼玉県 | 50 | 132.4 |
| 6 | 新潟県 | 12 | 132.4 |
| 8 | 福岡県 | 66 | 131.6 |
| 9 | 滋賀県 | 10 | 131.0 |
| 10 | 東京都 | 365 | 130.7 |
それでも1位の奈良県(11件)と10位の東京都(365件)では件数が30倍以上違います。件数が多いほど平均は安定するため、このトップ10も今のところの傾向以上の意味はまだありません。それでも、全県を無条件に並べるより誠実な見せ方だと考えています。
都道府県別の回答スタイル:じっくり派とせっかち派
正答率だけでなく、1問あたりの平均回答時間も都道府県別に集計してみました。回答時間が長い=じっくり考える傾向、短い=早めに結論を出す傾向、というざっくりした見方ができます(件数10件以上の県のみ)。
| 傾向 | 都道府県 | 平均回答時間/問 | 平均スコア |
|---|
| 最もじっくり | 北海道 | 23.0秒 | 125.9 |
| 岡山県 | 18.3秒 | 132.9 |
| 鹿児島県 | 17.4秒 | 125.1 |
| (中間・省略) | ― | ― | ― |
| 滋賀県 | 12.9秒 | 131.0 |
| 最も早め | 長野県 | 12.5秒 | 130.3 |
意外なのは、最もじっくり考えていた北海道は、スコアがそれほど高くないことです(23秒/問でスコア125.9)。むしろ奈良県(15.3秒)や京都府(15.9秒)のように、平均よりやや短めのペースの県の方が高スコアでした。これは「IQが最も下がる時間帯」の記事で見つけた1問15〜20秒が最も正答率が高く、それより長くても短くても下がるという傾向とも符合します。じっくり考えれば考えるほど良い、というわけではなさそうです。
なお、平均回答時間には離脱や中断(他のことをしながら受験した等)も含まれている可能性があり、純粋な「思考の慎重さ」だけを表しているわけではない点はご留意ください。
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47都道府県別(参考値・件数を明記)
以下は都道府県単位の集計です。件数が少ない県は誤差が大きく、参考程度に見てください(特にn10未満)。データは今後の受験数の増加に応じて更新していく予定です。
| 都道府県 | 件数 | 平均スコア |
|---|
| 宮崎県 | 2 | 142.5 |
| 青森県 | 3 | 140.7 |
| 秋田県 | 1 | 140.0 |
| 奈良県 | 11 | 136.5 |
| 石川県 | 5 | 136.4 |
| 愛媛県 | 7 | 136.3 |
| 富山県 | 2 | 135.0 |
| 山梨県 | 1 | 135.0 |
| 沖縄県 | 8 | 134.8 |
| 鳥取県 | 3 | 134.3 |
| 京都府 | 25 | 134.2 |
| 宮城県 | 18 | 133.7 |
| 和歌山県 | 4 | 133.5 |
| 神奈川県 | 81 | 133.3 |
| 岩手県 | 3 | 133.3 |
| 熊本県 | 9 | 133.1 |
| 岡山県 | 13 | 132.9 |
| 埼玉県 | 50 | 132.4 |
| 新潟県 | 12 | 132.4 |
| 香川県 | 5 | 131.6 |
| 福岡県 | 66 | 131.6 |
| 佐賀県 | 7 | 131.6 |
| 滋賀県 | 10 | 131.0 |
| 東京都 | 365 | 130.7 |
| 兵庫県 | 49 | 130.7 |
| 長野県 | 16 | 130.3 |
| 大分県 | 3 | 130.0 |
| 山形県 | 4 | 130.0 |
| 愛知県 | 69 | 129.6 |
| 広島県 | 22 | 129.4 |
| 島根県 | 3 | 129.3 |
| 千葉県 | 38 | 129.1 |
| 三重県 | 10 | 126.8 |
| 群馬県 | 14 | 126.6 |
| 北海道 | 56 | 125.9 |
| 大阪府 | 151 | 125.6 |
| 茨城県 | 22 | 125.2 |
| 鹿児島県 | 11 | 125.1 |
| 岐阜県 | 10 | 124.4 |
| 長崎県 | 4 | 124.3 |
| 福島県 | 5 | 123.6 |
| 山口県 | 11 | 123.5 |
| 静岡県 | 15 | 121.7 |
| 福井県 | 4 | 117.0 |
| 栃木県 | 16 | 114.5 |
| 高知県 | 7 | 113.9 |
| 徳島県 | 3 | 110.7 |
47都道府県のうち、件数10件以上は25県、5件以上は33県です。件数10件未満の県(特に1〜3件のところ)は、1人のスコアで平均が大きく動きます。今の時点で「この県が一番」「この県が低い」という結論を出すのは時期尚早というのが正直な評価です。
他のランキングと順位は一致するか
都道府県の順位は、絶対値ではなく「他の指標と同じような並び順になるか」で検証するのがより妥当な方法です。そこで、うちのデータ・テスト・ザ・ネイション(2004年版)・文部科学省の全国学力・学習状況調査(中学校3年生・数学、2023年度・公式統計)の3つで、都道府県の順位がどれだけ一致するかをスピアマンの順位相関係数(1に近いほど順位が一致、0は無関係)で確認しました。
| 比較 | 順位相関係数 |
|---|
| うち vs テスト・ザ・ネイション(2004) | 0.34 |
| うち vs 全国学力・学習状況調査(公式) | 0.06 |
| テスト・ザ・ネイション(2004) vs 全国学力・学習状況調査(公式) | 0.26 |
もっとも注目すべきは、うちのデータを含まないテスト・ザ・ネイションと全国学力・学習状況調査同士を比べても、相関はわずか0.26だという点です。後者は文部科学省による公式統計で、前者よりはるかに信頼できるはずの指標ですが、それでもこの程度しか一致しません。
都道府県に本当に一貫した学力・知能の地域差があるなら、複数の信頼できる指標がある程度同じ順位を示すはずです。実際にはどの組み合わせで比べてもほとんど一致しないという事実は、都道府県別の学力・知能ランキングというジャンル自体が、地域差よりも測定ごとのばらつきの方が大きいことを示しています。これは、うちのデータの精度が低いという話に留まらず、他の2つの既存ソース同士の比較からも同じ結論が導けるという点で、単なる件数不足の指摘より一段階強い根拠です(全国学力・学習状況調査のデータは公表値をもとに集計)。
以前の指摘との整合性
当サイトでは以前、他の都道府県別IQランキング(テスト・ザ・ネイション由来)について「公式統計ではない」「差はごくわずか」「年度で順位が入れ替わる=再現性が低い」の3点を指摘しました。今回の自社データも同じ基準で評価すると、ブロック単位では一定の件数がありますが、都道府県単位ではまだ「話のタネ」の域を出ません。この点は今後、件数が増えるたびに更新していきます。
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このデータの引用について
本記事の数値・表は、出典として本記事へのリンクを明記いただければ、記事・SNS・資料でご自由に引用いただけます。件数の少ない都道府県の数値を引用される際は、件数もあわせて明記いただけると助かります。
集計・執筆: Jason Tanaka(IQテスト運営)。本記事のデータは受験者を特定できない形で集計しています。次回更新時期は未定ですが、件数が積み上がり次第、都道府県別の精度を上げていきます。