同じテストを何度も受けると、練習効果でIQは伸びる——これはよく言われる話です。当サイトの注意書きでも以前は同様に案内していました。実際のところどうなのか、当サイトを2回以上受験した人のデータで検証しました。
結論から言うと、単純に「初回→2回目」を全部まとめて平均すると、むしろマイナスという結果になります。ただし、これはその場ですぐ受け直した記録(数分〜数十分後の連打)が数字を大きく乱していたのが原因でした。日をまたいで受け直した人だけに絞ると、平均+3.48点・約6割が上昇という、緩やかながら実在する改善効果が見えてきます。
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まず全体を見ると、平均はマイナスだった
同じメールアドレスで2回以上受験した記録を集計しました(開発・テスト用のアカウントは除外済み)。
| 項目 | 値 |
|---|
| 対象 | 2回以上受験した165人(初回→2回目のスコア変化) |
| 平均スコア差(2回目−1回目) | -3.3点 |
| 中央値 | 0点 |
| 内訳 | 上昇73人・変化なし41人・下降51人 |
これだけ見ると「練習効果はない」という結論になりそうです。ただし、この165人には受け直すまでの時間という重要な違いがあります。数分後にすぐ受け直した人もいれば、何日も空けてから受け直した人もいます。この「間隔」で分けてみると、見え方がまったく変わりました。
その場での連打は、上にも下にも大きく振れる
初回から2回目までの間隔が24時間未満だった111人(=その日のうちに受け直した人たち)だけを見ると、平均は**-6.65点**まで悪化します。極端なケースを見ると、その理由がわかります。
| パターン | 例 |
|---|
| 大きく下落した例 | 145点→75点(-70点、間隔0時間) |
| 大きく下落した例 | 145点→77点(-68点、間隔0.1時間) |
| 大きく上昇した例 | 75点→140点(+65点、間隔0.1時間) |
| 大きく上昇した例 | 88点→140点(+52点、間隔0.2時間) |
大きく下落したケースも、大きく上昇したケースも、どちらもほぼ同じタイミング(受験直後)で起きています。これはおそらく、真剣に解き直した結果というより、途中で気が変わって適当に答え直した・逆にその場でリベンジして本気を出した、といった「その場のノイズ」が両方向に強く出ているためです。この層が165人中111人(約7割)を占めるため、全体平均を大きく揺さぶっていました。
日をまたいで受け直した人だけ見ると、緩やかな改善が見える
そこで、初回から24時間以上空けて受け直した人だけに絞り込みました。「その場のノイズ」を除いた、より意味のある「練習効果」に近い集団です。
| 項目 | 値 |
|---|
| 対象 | 24時間以上空けて2回目を受けた54人 |
| 平均スコア差(2回目−1回目) | +3.48点 |
| 中央値 | +3点 |
| 内訳 | 上昇29人・変化なし17人・下降8人 |
54人中29人(約54%)が上昇し、下降はわずか8人(約15%)でした。上昇と下降がほぼ同数だった全体平均とは対照的に、日をまたいで受け直すと、上昇する人が下降する人より明確に多くなります。効果の大きさとしては平均+3.48点・中央値+3点と控えめですが、方向性としては「練習効果はある」と言えそうです。
なお、当サイトの受験者は自己選抜サンプルで、スコアの絶対水準は一般的なIQスケール(平均100)より高めに出る傾向があります。この記事で見ているのは絶対水準ではなく同じ人の1回目と2回目の変化なので、この上振れの影響はほとんど受けません。
なぜ「24時間」で結果が変わるのか(推測)
いくつかの要因が考えられます。
- その場での連打は、そもそも「練習」になっていない可能性があります。数分〜数十分後の受け直しは、じっくり見直して再挑戦したというより、勢いや気分で答え直しただけのケースが多く含まれていそうです
- 日をまたぐと、テストの形式や時間配分に慣れた状態で、改めて集中して取り組みやすくなる可能性があります
- 問題を覚えていて有利になる効果も、24時間以上経てば「うろ覚え」程度に薄まり、極端な下駄にはなりにくいと考えられます
いずれも仮説であり、この集計だけで因果関係を断定することはできません。
サイトの注意書きを更新します
当サイトではこれまで「同じテストを何度も受けると、練習効果でスコアが上がることがある」と案内していました。実データで見ると、その場ですぐ受け直しても効果は不安定(むしろ下がる例も多い)ですが、1日以上空けて受け直すと緩やかに上がる人が多くなるというのが、より正確な言い方でした。この記事の公開にあわせて、案内の表現も実データに沿ったものに更新します。
データについて
本記事の数値は当サイトのIQテスト受験データ(2026年1月26日〜7月24日)のうち、同一メールアドレスで2回以上受験した記録を集計したものです。5回を超える受験や、明らかな開発・検証用のメールアドレスは集計から除外しています。受験者は自主的にテストを受けに来た層であり、日本人全体の代表サンプルではありません。54人という「24時間以上空けた」集団はさらに小さいサンプルのため、今後件数が増え次第、傾向を再確認していきます。
出典を明記いただければ、記事・SNS・資料でご自由に引用いただけます。
集計・執筆: Jason Tanaka(IQテスト運営)。本記事のデータは受験者を特定できない形で集計しています。